写経の歴史

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日本に仏教が伝わったのは6世紀ごろで、多くの経典も伝わってきました。『日本書紀』には、天武天皇2年(673年)に奈良の川原寺で書生を集めて「一切経」を写させたのが日本で最初の写経である、という記録があります。天平時代には東大寺が建立され、国家鎮護のために仏教が重んじられます。奈良時代には仏教のテキストとして大量のお経が必要となり、国をあげての写経がおこなわれました。

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平安時代後期には、『法華経』を中心とした装飾経が多く書写されたと言われています。装飾経は貴族などの発願によって制作された美麗な写経のことで、代表的なものに平清盛が厳島神社に奉納した『平家納経』があります。
鎌倉時代には、禅宗や浄土宗などが盛んになり、写経はあまりおこなわれなくなります。また、その後の時代には印刷技術の発達によって、写経は個人の信仰の一環として位置づけられるようになりました。
現代では、追善供養のほか、病気平癒や災厄を除けるなどの願い事のため、また、心の安定や字の上達のためなどさまざまな目的で写経がおこなわれています。
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